東京/自転車に乗れない女の子
 
昼夜が逆転してしまう
人波の中で
わたしは1人ではなく
たったの独りなのだと
知りました

隣の部屋には
毎晩アコギを手にする音痴さんがいて
毎晩薄い壁の向こうで泣いているの

「ああ、どうしてここは
 こんなにも作為的なんだ」

そんなところで歌ってないで
路上で赤裸々に人生を歌えばいいのにね

あなたが歌うほど
悪いとこじゃないよ
わたしが思うほど
良いとこでもなかったけれど


夜光る街のイルミネーションも
電車の中で駆け引きする椅子とりゲームも

誰かが街角で落としたため息を拾うのも

そんなに悪くなかったよ


地球儀なんて愛さないで
ミニチュアなんて愛さないで


目の前の世界を愛してみてよ、ほら





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