恥知らず/ヒヤシンス
 
すればよいのだろう。
分かっているのだ。生も暗いが死も暗いなどと言えるような高みに達していないことなど。
私は私の半身と共に行くしかないのだ。書物・絵画・音楽などは偉大なる先人たちの道しるべに過ぎない。
私には経験が足りない。経験が足りない。経験が足りない。

さて、とにかく一服しよう。詩人には想像力がある。想像の翼に乗ってあらゆる世界を飛び回る事が出来るのだ。
私は私の理解力を高め、想像を逞しく育てながら、時には先人たちの後を辿りながら、自己の魂を激励し、時に蔑み、そしてまた褒め称えて、自己研鑚の旅を続けよう。
そして私の霊感を加えて創造し続けよう。
薔薇の棘は容赦なく私を傷付けるだろう。そんな事はどうでもよい。
屋敷は私のピサの斜塔だ。傾いても倒れるものか。もし私に死が手招いたとしても私はその都度思い出すだろう。私の斜塔を。私の強さの象徴だ。
さあ、煙草をくれ。この世で唯一信じれるものを。それはわたしの現実だ。

薔薇の庭園はその扉を閉じたのだ。永遠に。
そして今こそ私は永遠という奴をこの身を持って経験するのだ。
それは永遠に。永遠に。

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