つるはしと亀おんな/アラガイs
事故に巻き込まれて転落死したという。
遠い東国の果て、葬儀に参列したこの町の者は誰もいなかった。
それでも町の葬儀屋がその葬儀を担当したという同業者から聞いた情報は、故郷の人々にとってもこれは間違いない情報なのだと確信したのだ。疑う者さえ、いや、実を言うと疑うことすらも疑うのが怖かったのかもしれない。
ただ一人の若者を例外にして…。
しかし、それが、何故今になって…
…当然死んだと確信されていたはずのこの男が、何故か突然姿を現して、南口のホームに屯している若者たちを見つけては毎日声をかけていたのだ。
【予期された事柄はすでに予期されていたのだ】
(ね、あそこを通るとい
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