つるはしと亀おんな/アラガイs
 
学生だった。

人々が開発や五輪音頭に浮かれている最中に突然町から行方を眩ました中学生のカップルがいた。
カップルと言っても、この二人が仲良く歩いているところを目撃したものはいない。
娘は亀屋のマドンナと称賛され、男子たちの憧れの的だった。そんな裕福な少女を引き連れてヤッさんは消えた。
中学生の彼は大人が舌を巻くほどなんにでも長けた不良者だった。先生たちはいつも彼の居ないところで影口を言ったし、ある時ヤッさんが息子を袋叩きにしたと、怒りを露にさせて学校へ怒鳴り込んで来た恰幅のいいオヤジも、それを追及する担任も、最後に頭を垂れて謝るのは大人たちの方だった。
彼がどんな作戦を企てていたのか
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