間合に入る言葉/朝焼彩茜色
水面しか思い出せない 悔いはない
溢れんばかりに憚る言葉が間合に入ってくる いつでもどこでも
拾おうと跪くと脆く「N」の単位でなんか話にならない 早くに去ってしまう
いづれ戻って来ても 嵩を増し 素敵な迂回に世界を黙らせる程
膨らむ
いったいどんな生き物なんだい 言葉とは
水面しか思い出せない 航海の根は深海にある
角度を筋肉つけした腕で潜る 深海へと 息継ぎなんてよぎる余裕はない
人魚と見つめ合っても 余裕で驚きを懐に隠し 笑って見せる
強かに愉しむ潜り 流線型を真似て 肺呼吸を忘れ
泡を吐いて泡を吐いて 美しい曲線を描く仲
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)