間合に入る言葉/朝焼彩茜色
 


水面しか思い出せない 悔いはない

 溢れんばかりに憚る言葉が間合に入ってくる いつでもどこでも
 拾おうと跪くと脆く「N」の単位でなんか話にならない 早くに去ってしまう

 いづれ戻って来ても 嵩を増し 素敵な迂回に世界を黙らせる程
 膨らむ 

 いったいどんな生き物なんだい 言葉とは

水面しか思い出せない 航海の根は深海にある

 角度を筋肉つけした腕で潜る 深海へと 息継ぎなんてよぎる余裕はない
 人魚と見つめ合っても 余裕で驚きを懐に隠し 笑って見せる

 強かに愉しむ潜り 流線型を真似て 肺呼吸を忘れ
 泡を吐いて泡を吐いて 美しい曲線を描く仲
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