スターマイン/Seia
 
唸りをあげる牛蛙に
鈴虫が息を潜めて
全休符を待っている

扇子を握りしめると
じわり
汗が手にかえってきて

適当に舗装された
あぜ道の輪郭がゆれて
溶け始めている

瞬間、光る、青、赤、緑
内蔵、響く、破、裂、音

行かなきゃ

携帯は繋がらない
だから繋がれない

なんて考えそうになり
振り解くように早歩き
で人の群れを通り抜け、る

別に一生会えないわけじゃない
のに一生会えないような気がした
のは一生会えない人を思い出すから

青、赤、緑、

あんなに握っていた扇子は
どこかへ落としてきた

破、裂、音、

かき氷屋の行列に並ぶ後ろ姿を
これからずっと覚えている

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