残暑/
ねなぎ
煩いまでの
静けさに眠り
道のりは
消えて
未だ知らず
道を忘れ
誰も彼も
言葉を知らず
ため息を
垂れるように
目を伏せる
かつて
双方向だと思っていた
その道が
固められて
一方通行となり
行ったっきり
戻っては来れなくなったが
この暑さで
あやふやになるように
全てが溶けるように
境が破れて
忘れたのか
思い出したのか
歩く道は
続いていた
あの日
蝉の音に
呼ばれて
思い出せず
歩いていたのは
道だったろうか
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