六歳/もっぷ
 
夕焼けは空全体が燃えることだった
そんな日々からずいぶん経って
いま夕空のどこを探しても
みつけられない六歳の空

大人なのに泣いている理由がわかって
こんな場合にこの気持ち
どう切り替えればよいのかも知っている
無心に泣いて眠るまでずっと泣いて

翌朝に目が腫れぼったいという
あの頃の顔とはしばらく会っていない
6という数字に特に想いがあるのでもなし

けれど六歳、いつも隣のような遠くに
少女は居て何もかもの色彩に発見を覚え
未来の「わたし」に伝えてやまない


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