蜻蛉の泉/月乃助
か その小さな指が武器を組み立てるのを 恐れた )
すべては、懐疑
すべての 終焉は、「 破壊で、なければならない 」
少女は、小石を泉になげつづける
波紋に自分の姿を 目にすることがないように
わたしは、ただ
森に出会った少女の
焼け爛れた むざんな手をとって歩みはじめる
森のやわらかな土をえらび
少女を埋める
美しいおとぎばなしを
聞かせてあげるため
その目と 鼻と 口と 黒く爛れた
区別のしようのない顔から 土をかける
そして、こんもりと土をもる
名もない
小さな石の墓標に
二度とくりかえされないよう
忘れ去られることがないよう
手をあわせる
*
朝 森にサイレンがなりひびいた
私は、許しを請うものの顔で
重く
深く
こうべを 垂れた
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