夏休み/nonya
切れ切れのあらすじ
離れ離れのせりふ
緑と青と白とその隙間にある
無数の明るい色と寒い色
大脳皮質の砂浜で拾い集めたら
海馬のカレイドスコープに仕込んで
いとおしむように回す
見えてくるのは遠い夏休み
今にも壊れそうで綺麗だけれど
それが夢だったのか現だったのか
もう分からない
*
遥かな山の辺まで続く
大きな長方形の連なりの中で
フェーンの熱風に弄ばれていた稲穂
うねる緑
パンクした自転車を放り出して
土手に寝転んで向き合った空
悔しい青
追いかけっこに夢中で
近づくバイクに気づかなかった
アイツの頭に
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