未遂/本木はじめ
 
憂鬱な鳥が若さに飢えて転がる三階
防風林が倒れて久しい今夜の過去に
裁かれることは嫌
雪まみれのやわらかいを脱いでぬいでぬいで
今 分かち合う幻想の氷
冷たくて縫う/つめたくて縫う
濾過されて埋めて細工してこぼして
絶対的に賛成の光陰だ
なにせ来世に欠ける愛
落雷の危機感は歌われたのだ
蓮華や梔子がグラヂオラス開花だとしても
ひとびとはもう見向きもしない
孤独な料理が冷めて雪
やっぱり暗号のように
溶けてゆく覚醒のはじまり
えいえんに喪われたんだ
歩くように時間停止していたときに
棒のような螺旋がほどけ
一粒一粒にはじけなかった





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