人間社会でも猫の事務所/Neutral
雑種の僕は
触って撫でて 抱き合うたび
ああ 君になりたいな と
涙の様な感情を胸一杯に広げていたよ
そんな僕達の事は犬どもには分かりはしない
奴らには大人になった所で社会の犬になるしか道はないのだから
最後に僕の所にまで周ってきたアルバムの寄せ書きは
信じられないくらい汚い言葉で埋め尽くされていた
僕は前の席の奴からマッキーを取り上げ 握りしめる
後ろから聞こえる君の泣き声をかき消すように
その腕を必死に動かしていた
犬の糞だらけになったページを
真っ黒に塗りつぶそうと 必死に腕を動かしていた
まるで何年も使い古したかのように
ぼろぼろになったペンを投げ捨て
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