人間社会でも猫の事務所/Neutral
この人間社会で 僕達はたった二人猫だった
その学校なら猫でも入れるというから
僕は早速転入したんだ
それが出会いだったのだけれど
だけれど クラスメイトは犬ばかり
僕ら二人とも やかましく吠える連中には
勉強でしか勝ちようがなかったよね
卒業式が終わった教室で
君はアルバムを取り上げられて
僕の後ろの席で 教室の一番奥で小さくなっていたね
みんなが罵詈雑言を綴りながら
ひとりひとり教室でアルバムをまわしていくその光景に僕は爪を研ぎたかった
誇り高い血統のもとに君が生まれてきた事なら
君の毛並みを一番近くで見てきた僕だから分かる
親の顔すらろくに見たこともない雑種
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