チチチ/瑠音
いつもは乗らない鳥に乗って
いつも挨拶をしていく家をいくつも
通り過ぎる
梟に会いに行くと言ったきり
雀が帰ってこなくなったので
少し怖くなった
こわくなった
引ったくりが多い物騒な道だと梟が教えてくれる
けれど
あの雀が取られるようなものをもっていたとは
思わない
どこへ行ったの
チチチ
帰っておいで
チチチ
米粒をパラパラ
パラリとまいて
唱える
唱える
唱えるチチチ
帰っておいで
チチチ
帰っておいで
チチチ
コトコトコトコト鳴る音は
空になったかごの悲鳴じゃなくて
寒さのせいで生まれた
私の声だった
鳥の背中
めがねが割れる音がして
思わず視線が落ちていく
けど
そんなの
そんなの
いらないから
チチチ
チチチ
帰っておいで
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