蝉の話をしてあげよう/
佐東
熱量
ながれない川のほとりで
雨を
見つめている
たくさんの
わたしたちの
梢に絡まった
声の輪を
解こうとしている
幼い空
いくつもの
はじまりの中で
空は
静謐さを取り戻し
焦がされてゆく
僧侶の
抜け殻の放つ
体温が
夜に咲く
翅のある
いきものよ
わたしたちも
また
手足を
折り曲げ
つちの中へ
いのり を
鎮めてゆくから
とどかない
星と
星の隙間で
声を見送る
瞳が ほしい
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