文字との邂逅/東野 遥汰
 


ボールペンの芯が折れて
染み出した真っ黒いインクで
書いていた詩は読めなくなって
僕の中からも消えていった

謀ったかのように
産まれた贋作に埋もれながら
僕の部屋はボツになった
紙屑に支えられて立っていた


ゴミ箱に放り投げた
思考の漏れ出た紙は湿り気
書きなぐった文字は読めなくて
並ぶ僕には意味さえなかった

それでも書いてる
僕はきっと無意識のままに
動かしてる腕に任せた後は
そっとそっと目を閉じてるんだ


だから何も覚えてないんだろう



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