アフリカ/佐東
 
たしや母や福岡空港や成田空港や子午線やインド洋を遥かに超えて何処までもびょーんって伸びている

新町の交差点で父の挨拶を拾った元職場の同僚の人が
ご丁寧にうちまで届けに来てくれた
スワヒリ語だったのでもしやと思ったら案の定だって
そんなに前からアフリカだったのね
わたし何も知らなくてごめん
アフリカに行く前に写メとか撮っといた方が良いのかな

その夜
元同僚の人に
マサイジャンプをキメながら
南国風のスパイシーな料理を黙って振る舞った母は
きっと近日中には狩猟民族になるのだと思う

ささやかな出国記念パーティーの途中
父が耳元で
お前も死ぬまでに
何か好きな事を一つでもやっときなさいって言った言葉を
父の居なくなった
じめじめしたリビングで
ストレリチア レギネの鉢に
水をやりながら
思い出している



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