たった一人のこの部屋で/梅昆布茶
 
壁にピンナップされた僕らの写真を見ている 時々締め付けられるように過去が蘇るのだが
時間の不可逆性は 僕の味方ではないようだ

一人静かに時を消費することにも慣れてしまった もちろん本意ではないのだが
孤独とつきあうのがうまくなったかもしれない もともと孤独な性癖だったから

幼稚園の入園写真や 運動会の写真

そう言えば亡き母のアルバムに貼ってあった姉と俺の写真
セピア色で 姉はしっかり者 僕はひょろひょろに映っていた

でも貧しいながら寄り集まって 北海道で生きてきたんだ

時代という風のなかを寄り添って生きてきた気がする
いまは亡き若き日の母が 僕らと食卓を囲
[次のページ]
戻る   Point(19)