たった一人のこの部屋で/梅昆布茶
壁にピンナップされた僕らの写真を見ている 時々締め付けられるように過去が蘇るのだが
時間の不可逆性は 僕の味方ではないようだ
一人静かに時を消費することにも慣れてしまった もちろん本意ではないのだが
孤独とつきあうのがうまくなったかもしれない もともと孤独な性癖だったから
幼稚園の入園写真や 運動会の写真
そう言えば亡き母のアルバムに貼ってあった姉と俺の写真
セピア色で 姉はしっかり者 僕はひょろひょろに映っていた
でも貧しいながら寄り集まって 北海道で生きてきたんだ
時代という風のなかを寄り添って生きてきた気がする
いまは亡き若き日の母が 僕らと食卓を囲
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