10年後/nonya
 

プチトマトの実がついたと
子供のようにはしゃぐ君の瞳は
まだ昨夜の喧嘩のことを
忘れていないよと言っている

後ろからのぞき込む
バツの悪い僕の視線は
幼いトマトと君の横顔の間を
おそるおそる綱渡りする

互いの手の内が
分かり過ぎるゲームは
どちらかが潔く負けなければ
いつまでも終わらない

今日の朝食は
かなり焦げたハムエッグと
苦いだけのコーヒー
息の詰まりそうなダイニングの片隅で
今日は君の大好きな
チーズケーキを買って帰ろうと思った

自分の荷物は自分で背負わなきゃと
偉そうに言っておきながら
君の荷物に甘えやわがままを
忍び込ませた
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