灯し火/Neutral
 
をしたのは

人の心を物に例えるとしたら
ランプだろう
手間がかかるし汚れが匂いが
そうやってランプを投げ捨て
人は便利なものを便利なものをと求める

だが僕達は知ってるはずだ
やってみなくちゃわからないと
誰かが必死に握りしめていた木の棒が生んだあの美しい火を
それを生み出せるのは人の心だけだ

火を消す事はあっても
投げ捨てたりはしない
毎日僕はランプを持ち歩き
すれ違う人々の冷えた心を火にくべていく

ランプの火は
やる気だ
知識欲だ
手間がかかる事の大切さを知っている心の記憶だ
ランプはすっかり綺麗になって
僕の一日は締めくくられる

今日やらない事は明日もやらない
しかし
今日出来なかった事は
明日は出来るかもしれないという事だ
どうか明日も
この道を照らしておくれ
戻る   Point(8)