いまごろに/ドクダミ五十号
 
よに

 蜜を求めの虫どもと

 ともい見て嗅ぎ愛でるのは

 枯れて落ちるを惜しむが為ぞ


 這ってでも

 庭が見たいとやまいひと

 迎える様な香草の

 撫でるを待つのありさまに

 指は向いて躊躇いがちに

 汚れて震え

 不確かな指


 碗の粥

 青菜と塩の

 鮮やかさ

 匙で掬うは惜しくあり

 箸で食らえば

 ひと粒と

 庭の花とが重なりの

 落とす涙も加えての

 命が惜しく痛ましく


 肥後守

 鋭利な刃先

 爪にあて

 研ぐか研がぬか

 思案する


 茂りの季節

 春を過ぎ

 過ぎておらぬと

 今頃に

 芽出しの菜の芽

 双葉可愛く

 遂ゝ撫でる

 可愛

 可愛と
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