紫時計/もっぷ
 
多摩川にて貸しボートに
ゆられるともなく
空いたコカ・コーラの缶は
転がるにまかせ

ふとここを
佐渡の流刑地だと思ってみることにする
みやこわすれに導かれたか
さきほどみたあの紫がよみがえる

時間(とき)を憂えるのはいつも人間
花も樹もそして草も
時計を望んだことはない

廻れば咲き寿命を歎かず
名づけられることすら知らず
なぜと問わずにそよぐだけ


戻る   Point(3)