光/イナエ
 
が夜景を彩る街に 
滑走路のように照らし出されたプラットホームで
ローカル線に乗り換え 
光の疎らな町の暗い駅舎の
蛍光灯に白く浮かぶプラットホームで
三セクの冷えた車両に乗り換え 
日付が変わろうとしているころ
ひっそりと佇む水銀灯の光の中に降り立つ

一両だけの電車が騒々しく去っていったあと
見慣れた山が星のない空へ暗く盛り上がり
かすかな水音が黒い帯になって前方を横切っている 
それを交差した白い道が闇の中へ消えていく

この先には もう 光に満ちた夜はない
盛り上がった闇の中にちらり見えた蛍火
かつてそこに埋めた望みは 
芽吹くことなく今も埋もれているだろうか
だが どのような状況であろうと 
今は躊躇うときではない
足下に広がる闇に浮かぶ白い道へ踏みだす
闇の中で光を発していた蛍火だけが
冷えた心に暖かい場所を約束してくれそうな気がして

戻る   Point(6)