爺と姫の物語パート3/梅昆布茶
最近姫が西洋音楽をはじめた
ヴィオロンとかいうキーキー言う楽器だ
まわりは大変迷惑千万昼寝もままならんし爺は疲れ気味だ
琴かせいぜい三味線ぐらいでいいと思うのだが
姫の西洋かぶれは止まらんしラッパの化け物のような蓄音機とか言うもので
ベートホーフェンなる音曲を黒い円盤状の物で聴いてばかりいるしまさに
西洋お化けのようでせっかくの美貌も鬼気迫っておるし
爺の悩みは深まるばかりで隠居もままならぬ
西洋流の譜はおたまじゃくしのようで爺には分かり兼ねたし
音色も節も伴天連のけばけばしい品のないものに思えるのだった
いずれ太鼓驟や音曲の連中を密かに焚き付けて何か企む気配
爺
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