魔法の小瓶/三田九郎
 
デスクに透明な小瓶を置いて
飴玉を入れて
口に放る
ため息がこぼれそうなとき
舌打ちしそうなとき
くたびれたとき
暇なとき
忙しすぎるとき
話題のないとき
何も考えていないとき
考えすぎたとき

小瓶を見つけた人が
足を止め 声をかける
好きなのおひとつ
ふと 笑みがこぼれ
ひとこと
ふたこと こぼれ
口に放る
僕も放る
小瓶の蓋を開ける
閉じる
心が鳴る
音がする
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