よわいという/かんな
よわいという
ところにきみとわたしの真実という
嘘っぽい現実が
隠されているので探してみてください。
という手紙を
ゆうべの食卓できみに差し出した
手が
春だというのにつめたくて
思いの他冬もがんばっているのだなという
そうきみの手が
生姜の炊き込みごはんに
はまってしまっていて
さむいからね
ジンジャー
あたたまるといい
こころがふたつ
こんな時節は
つい春めいた恋やら桜やらのことを
書き連ねてしまうけれど
そういえば
きみとわたしの出会いは夏であったなどと
色濃い対比を思い浮かべる
こともあるのだ
海辺での語らいは
もっぱら
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