彼岸の日に/
殿岡秀秋
新しい切り花と
線香の香りの間をぬって
コンクリートの納骨堂の片隅で合掌する
父母はここにいて
ぼくを懐かしんでいるのだろうか。
骨壺はあっても
肉体はない
だから意識もないはずだ
ぼくを見てはいないだろう
霊魂が
粒子のように在るのだとしたら
どのように
ぼくを感じているのか
そこにいることは
確かめられない
そこには何もないと
決めることもできない
花瓶の曼珠沙華が揺れる
風か
納骨堂の扉が閉まる
音
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