ソメイヨシノをめでる/小川麻由美
 
幾年にも渡りここに構える木々

木々は川の流れを見守ってきた

木々は春のただ中に人々を集める

木々は川の両側に誇らしげに花をもうける

枝は川に手を延ばすように枝垂れる

花粉は個性を持ち風で舞い散る

冷たい空気の流れの中 

したためる文字の連なり

まだ寂しげな つぼみを見つつ

また来る約束をして 背を向ける
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