ガラスの森/Seia
 
今朝、ガラスの森で
色のない林檎に一目惚れした

強く握ると
割れてしまいそうで

やさしくそっと まわしてもいだ


足元の落ち葉を しゃら しゃり
確かめるように踏みながら
来た道をもどり あるい あるいて
透明な丸太小屋についた


安楽椅子に腰掛け
取り出し
眺める 林檎
に透ける 暖炉 に透ける
壁面 に透ける 砂利道

ゆっくりと目を上に
同時に
掲げた 林檎
に透ける 天井 に透ける
薄雲 に透ける 天使 の階段

が照らすのは 丸太小屋

と 林檎

そして 私


今朝、ガラスの森で
色のない林檎に一目惚れした

強く握ると
割れてしまいそうで

そのままぐっと 強く握った。

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