開花宣言/Seia
 

ミルクティーに羽虫が浮いて
弱々しく回転するあなたを
私は忌々しく思ったし
終わりを迎えたあなたに
ほんの小さな哀れみもうまれた

八割飲まずに諦めて
シンクに流しに行く 夜中


もうつぶれた雑貨屋の
ポイントカードを捨てようか迷う
中途半端に溜まったポイントは
あと五千円何かを買えば
千円分の買い物券になった

ふと目についた財布の中身を
整理してしまっている 深夜


なにか落ち着かなくて
世界が急に拡大して
私が急に縮小して

なにかしていないと
不安が急に拡大して
胃が急に縮小して

少し
吐いてしまいそうに
なる


明かり代わりにと
つけっぱなしにしていた
無音のテレビが切り替わり
気象予報士が嬉しそうに
笑顔で開花宣言を知らせていた

カーテンが薄く照らされて
睡魔の波が聞こえてくる 未明


こんなにも不安なのに
桜は咲いていく

咲いていくのだなと
ひとり 納得をして 目を閉じた
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