口笛の朝/平瀬たかのり
 

 もはや無用と店を飛び出し
 このガッキと小脇に抱えしボウルの中の
 いまやサラダ油のキラメキ
 一秒ごとに消失しつつある野菜イタメ
 兵庫県道五三七号線上において
 思いきりぶち上げれば

 オレンジ色に若苗色
 乳白 ビリジャン 栗色
 ギラッと朝日に乱反射して舞い、舞い
 こうなったらもう空のボウルも
 ぶるぅん朝日に投げ上げたらピカピカっ
 横断歩道で跳ねて弾んでぐゎららぁん
 わあっはっはっはっ!
 
 なぁんて散乱に惑乱
 いつもの朝
 何も知らずに高速道路走り去る運転手の
 クラクション代わりに
 ピューイ
 俺様が口笛をひとふきしてやったのさ


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