フラウ No.1 〜How about you?〜/破片(はへん)
フラウ、
きみの瞳が黒くなかった頃、ぼくらは、
花畑を見つけるのが殆ど唯一の、楽しみだった
十分おきに鳴るセルフォンに、きみは、
いちいち振り返った そして、ぼくは
なんでもないと、答え続けた
歩みは遥か、何とも言えない香りの中、
風から粘つきが消えるまで、ぼくらは
花を見つけて、うたうように指をさし、
フラウ、きみの指先からはいつも
さざ波のリズムで歌声が洩れていた
ねえ、ぼくは、
歌なんて何も知らなかった
だのに、ぼくは、きみと一緒に歩いている時だけ
多幸を織る高らかで伸びやかな、コードを、
その調律を、いくつも作り出せた
フラウ、きみは、
青い青い快晴の
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