眠り姫の薔薇/梅昆布茶
の庭園は彼女のこころのなかに
幸福な王子 と王女 は何時の間にか壮麗な
忘却という 宮殿 を手をとりあって散策するのだが
ふたりの言葉は金のしづく
ふたりの涙は銀のしづく
魚の涙のようにしづかに海に流れるのかもしれないのだ
遠くの声が聞こえる
それは時間という回廊のなか
君が叫んだ愛かもしれないのだが
切れ切れになったそれはいまでも
回廊に谺しているのだろうか
眠り姫の夢はときおり途切れるのだがそれは
眠りではない新しい夢を
見つけた瞬間なのかもしれない
僕たちの進路は何で裏打ちされるのか
それは愛とも歴史とも呼べるもの
眠り姫の夢のなかで
自由を代弁していただろうものを僕たちが
ある想いと信じているからなのかもしれないのだ
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