走れ私/コーリャ
 
はじめ、私はなにかに恥じ入った。連絡先をスクロールするが、女子の名前が思いだせない。さ、し、し、し、女子、違う、し、す、せ、せ、せ、聖ヴァレンタイン、違う。iPhoneをしまう。頭が疲弊してきた。実在しているのか?だと。違う。チョコだ。私はサンクスに駆けこむ。虹色の製菓が笑いさざめていている。実在しているのか?違う。iPhoneを取り出す、さ、し、し、実在しているのか?違う。頭がもっと甘やかになる。甘やかになった頭のなかで製菓担当が首を横にふりつづける。セブンイレブン。ポプラ。聖ヴァレンタイン。メールだ。違う。実在しているのか。ポプラなんか実在しているのか。違う。iPhoneをしまう。そうだ、チョ
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