北の亡者/Again 2013如月/
たま
八十二歳だという。
ようやく果たせた、十数年ぶりの予定だった。
今年も春一番が吹いて、消えてしまった二月の予
定は、いつか来る日の、予感だったかもしれない。
も吉と歩いたあのころの、果たせなかった予定は
すべて忘れても、残された詩のなかに書き記した
予定は忘れることはできない。それはただひとつ、
生きるということ。何も書けなくなっても、それ
だけは果たさなければいけない。
も吉が残した、わたしの主題なのだから。
戻る
編
削
Point
(29)