僕及びheのHELLO!という挨拶/赤青黄
 
下でもないのだろう


#     太陽が全てを俯瞰する、世界の底の、庭の中で


  ―赤い液体は僕に匂いを突きつけて離さない

  ―レモンの木からは絶えず異臭が零れだして

  ―僕はこの現実こそが夢だと思った

  ―透明な鱗が太陽の光を鋭く反射して

  ―僕に投げかける

  ―1つの言葉を

  ―死を見つめる

  ―僕の瞳に向けて


    ただ


#     全ての終わりに、こんにちはの挨拶

  水は既にまき終えていたが
  僕の頭の中を巡る赤い水は
  未だ排泄し切れていないよ
  うだった

今夜、僕はまた同じ夢を見
るのだろうか、それとも目
を一度閉じて開いたら朝が
来るような、そんな夜を過
ごすのだろうか

  手に付きまとう死の香りを
  固形石鹸で洗い流しながら
  僕は生まれて初めて意識し
  た生物の根源に対し、

こんにちは

  と一言挨拶した後、
  そそくさと家の中に戻り
  玄関の鍵を閉めた。
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