向こう見ずなあなた/千波 一也
 

あなたが
西日にうずめたものを
知るすべもなく
いまは昔


あなたが
見ていた向こうには
なんにも無いと思ってた

なんにも無いと
思いたかった


向こう見ずなあなたを
望んだわたし

きっと
それが見えていた
あなた



向こう見ずなあなたへと
落ちずにすんだわたしは
日暮れに凪いでいる



あなたが
夕日に託したものを
知るすべもなく
いまは昔

不意に
口ずさむ
なつかしい歌のように

すっかり軽い
荷のように




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