君咲く春に/梅昆布茶
固く結んだ歴史の果て
柔らかな風を含んで君は花開く
大輪ではないが機知にとんだ
しっかりした花だ
空からやって来る言葉を迎えるために
僕らは産褥をしつらえねばならない
子供がガラスに顔を押し付けて外をうかがうように
僕たちはある意味滑稽なんだろうな
風は国境を知らずに季節をもたらすもの
君の心も国境はない
生態の連鎖の中で水銀が蓄積してゆくように
愛が貯蔵できればいいのだが
それほど容易くはないようだ
それにもう別れの時期は去ってしまったのだ
僕たちの戦利品は春の中で咲くだろう
特別でもない白い花だ
少女達が朗らかな響きをも
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