深夜のナポリ譚/faik
たまになら食べてもいいかも。と、軽い気持ちで言ったが最後、有名なわけでもアンニュイ雰囲気なわけでもないファミレスで、大して好きでもないナポリタンの大盛りをつつく羽目になってしまうように。詩作というものは案外、書いたこちらの思惑とは異なった方角に運ばれていくもののようです。
かくいう私自身は、ナポリタンなんざ一生にあと一度食えりゃ十分だなぁというスタンスだったわけなのですが、どうやらお相手の方はこの店に着いた瞬間からナポリタン一択だったといいますか、なんならナポリタンが食べたくてこの店に来ましたが何か?と言わんぐらいの意気込みで、ナポリタンの活字とナポリタンの写真をこちらに指差して見せ
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