シーズンオフ/オキ
 
なく、
海辺の家を離れた。
自分は少女に会うために
そこに滞在していたのだ。
その思いが強くきて、
もうこれ以上留まれなかった。
少女は波が少年をさらって行ったと訴えていたが、
旅人は自分こそ少女を海に奪われたと思っていた。
憤ろしくそう思っていた。
盛り上がり打ち寄せてくる波音は、
狂おしいばかりの旅人の鼓動とぴったり重なっていた。
旅人は今、波音の聞こえない土地へと、
旅立たなければならなかった。
そうしないと生きていけないと思った
他に選択肢はなかった

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