ごめんね上手/もっぷ
 
潮騒かと思っていた
知っていてあえて錯覚してみた
実は樹の葉たちのささやき
の聴こえたあの
遠い部屋
知られないかなしみも
ささやかなうれしさも
みんな粗末だけれど整っていたあの
あれは七畳の部屋だった

帰ることはできない
連れてくることもかなわなかった日日たちが
泣いてはいないか
と案じては
ふりかえるけれども
今の部屋の時計がいつも
さびしそうにほほ笑むのでわたしは

独り言の
、ごめんね
上手になって久しい


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