放物線/
千波 一也
ひょい、と
放り投げた缶コーヒー
疲れた顔した
おまえはつかの間
あわてた顔になる
あわてた顔で
キャッチして
細く、
わらう
おまえの横に
しゃがみこむのも
いいけれど
言葉を探して
言葉を選んで
たそがれるのも
いいけれど
そこに
おまえは
見えないからね
わたしの、
わたしのためだけ、の
取りつくろいしか
見えないからね
放り投げる物は
何だっていい
ほどよい距離で
放れる物ならば
おまえに向かう
たやすい線が描けるのなら
何だっていい
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