足りないもの/梅昆布茶
 
人生は足りないものばかりだが
僕はどこで誰に足りなくなるのだろう

人生は余るものもあるのだが
誰があまるんだろう

あまるものなんて無いはずなのに


軟体動物が線虫がそして僕が
てらてらとした軌跡で歩むことを赦す世界は優しい

僕はピタピタ着く小さな吸盤で
三丁目のタコに所属しているが

人生はラフティング
アメイジング
ダウジング

水脈はよけいな回路を経て

僕たちが指をおる前に
君は年老いてゆく

僕だってちっとも成長しないまま
崩壊しているんだ

僕たちは悲鳴をあげながら静かに老いてゆく
くちばしを尖らしてばかりの人生なんて

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