恥知らず/千波 一也
 



雨は
嘆きを代弁しない

風は
怒りを
代弁しない

おまえを語れる
他者はない



星は
だれをも照らさない

花は
だれをも誘わない

おまえは
おまえであるしかない



月のうらには
哀しみがあり産声がある

海のそこには
戸惑いがあり残響がある

おまえごときが
推し量れる世ではない



何ができても
何ができなくても

何をのぞもうと
何をあきらめようと

おまえは
おまえとともに往け
価値のわからぬ恥知らずめが








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