明くる日の丘/山中 烏流
たくさんの忘れられなかったものたちが
付きまとい続けるから
わたしたちは
どこまでも、丘を下っていった
*
歌を歌うように
息をするように
言葉をなぞるように
手を触れるように
安物の、ありふれた言葉使いで
何よりも愛したかったものが
あなたでも、わたしでもなかったとしたら
どれだけ幸せだったのだろう
思いをしたためるように
パンを口に運ぶように
空を見上げるように
あなたの名前を呼ぶように
*
薄く窓を開けて
空を行く鯨の群れに手を振った
ちりばめられた光源すら寝静まった夜に
あなたは
そっと、目を閉じる
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