旅/ドクダミ五十号
どどんがどん タタントタン ガタントトン
レールの継ぎ目が歌うよ
子守唄かもしれない
眠気を誘うのだもの
夜明けに到着を告げる車掌のアナウンス
知らない土地の白銀の風景が
木枠の窓に絵画の様に嵌っていたよ
冷凍みかんはとっくにとけていて
遠くに来たんだなって
ラシャに似た布張りの席を撫でてみる
特に意味は無い
窓は開ける為に存在している
ラッチは固く左右を同時に操作して
なお、かつ’上方に力を込める必要があった
幼い者には困難で不親切だが
やってのけた
冷気が即ちレールの歌を朝焼の歌へと変化させた
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