ウラ/nonya
あなたは
とても綺麗に微笑みながら
水のような滑らかさで話をつなぐ
わたしは
そんなあなたに見惚れながら
あなたの綻びを探してしまう
あなたは
笑っていないほうの目でわたしの
すべてを見透かしたような気になっている
わたしは
追い詰められた小動物の仕草で何も
分かるわけがないとほくそ笑んでいる
わずか0.02mmの角質層の下は
誰にも見えない
見えないから人は
憎んでしまったり
愛してしまったり
誤解したままだったり
リスペクトしまくったりする
心許ない薄皮一枚に包まれた
人のウラは
温かい闇と冷たい闇がせめぎ合っている
ましてや
[次のページ]
戻る 編 削 Point(30)