ふたつのソネット/もっぷ
「きみの詩」
冬の庭にきみは
一所懸命に
種を蒔いている
ときには雪、吹雪のなかでも
脳裏をよぎらないかい
咲くわけがないってこと
、わたしは
たずねない
ただ
じっとみてる
そのうちに聴こえてくるんだ
純白の雪原にまるで滴る血のように花開く
きみの、
こころの息吹が
「わたしの詩」
冬の部屋でわたしは
一所懸命に
種を蒔いている
屋根に守られながらされど
安寧からはほど遠く
夢の儚さが沁みる日日
、きみは
手を差し伸べる
甘えではないと誓いながら
わたしは
躊躇うことなくすがってみる
その血潮に大地のほがらかを聴き
五畳の世界に満天を得て
いよいよ愛しみながら種を蒔き続ける
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