海一粒の砂粒/
すみたに
蛛の巣が持つ偶然性と精緻な設計は語りを止めないのだろう。どこを切り取っても違う形が見え、そこから何かを読み取ってしまう。しかし「それ」だけは沈黙を貫いてほしいと願うのはいけないことだろうか?
「そこで全てが終わってしまえばいいのに」再び女性は呟き、その吐息を風が掻き消した。
砂粒はとうとう海底に着いたようだ。女王の微笑みと星の輝きに歓迎されて、それから砂地に紛れて消えた。砂粒は純であったのに、再び純でなくなってしまった。
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