誰が殺したコマドリを/ドクダミ五十号
った
それはわたくしです
愛をこの胸に
常に抱え
嘴には真実を
相応しいでしょう
棺は重かったであろう
誰が担いだのだ
皆の視線はトビに集まった
トビは詠うように言った
恥ずかしいですけれど
それはわたくしです
強い足と翼は備わっておりましたから
棺は覆われていなければならん
誰が覆ったのだ
ミソサザイは小さい体を一層縮め
それはわたくしです
お恥ずかしいですが充分な羽がありませんで
さえずりで包みました
これに涙せぬ者がおりましょうか
そこで賛美歌を歌う者がおりました
ツグミです
彼は普段口を噤むのですが
歌わずにおれないのでした
そして牡牛は済んだこととせずと
雄々しく言いました
まだ葬送の鐘は鳴らされておらぬ
わたくしが引き受けよう
幸いにも綱も引けるし
力もある
響き渡る鐘の音に
鳥たちは可哀想なコマドリが
今こそ弔われたと思い
涙するのでした
それは晴天から降る慈雨と呼ばれ
人間どもは驚くのですが
鳥たちの心には永遠に刻まれているのです
なにせ
今日も降るのですから
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